おもちやけた

orokanaburogu

Solitude HOTEL 6F yume(18.12.16)

ゆめ 見たの 忘れた場所

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ゆめ日記

 

 

先月目撃したSolitudeHOTEL6Fhiru/yoru公演の衝撃はずっと意識に残っていた

余韻に浸る生活は送れずとも、あのときに見たものがどんどん質感をかえて脳に残る いつまでも形として残せずにいて、yume公演の前日に遅れた日記を書いた

当日、翌日、翌々日、1週間後、3週間後の自分が混在していて形のない記憶 

 書いているうちにどんどん怖くなった 書きたかった想いや、観たことが薄れていくことの恐怖もあるし、夢に期待が裏切られる可能性、いつも処理なんて出来ないけれど自分を無視して通過してほしいし、夜を超えて夢で夢を観ることなんて考えられなかった

 

緊張して前日は眠るのが遅くなった

この日に観る夢は忘れたくないから起きてすぐに内容を書こう と思った

 

 

朝目が覚めると、もう夢のことは思い出せなかった

 

 

いつも通り抜ける有楽町ルミネの上の階だった

株主総会かなにかに使いそうなホールにきた

 

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舞台には赤いベッド、客席は赤いソファf:id:ariki_com:20181219235050j:image

17時を過ぎ、インスト曲が一曲終わるたびに会場が静まる 

撮影禁止の看板をどける人

注意喚起のアナウンス

アナウンスが終わると静寂が流れ

 

急速に暗くなる

 

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01. fMRI_TEST

ぐにゃぐにゃした形の変わりゆく映像とfMRIの音を4分くらい目にして耳にしただろう 脳は調べられている 暗闇で、その映像とその音だけに支配されて何も考えられなくなって、なにが起きるかなんて想い巡らすことなどなく、ただ脳を委ねる

我々は被験者 もしくは実験者?

フッと身体が浮くような感覚に飲まれる、左右から聞こえる強弱のついた手拍子 夢に入っていった

ドアからでてくる白い鳥、ペストマスクの四体

これは誰か、yoruにみた白い彼等なのか、そこで寝ていた者たちがこうなったのか、まったくの別人なのか、全員が同一人物なのか

その四体は赤いベッドに横たわって眠る

 

02. 夢

うちの一体が起き上がる マスクを外してレインコートを脱いで、水色の襟ぐりの開いた病院服をきた矢川葵がうたいだす

「ゆめ 見たの 忘れた場所」

あまりにも美しい声だった 

順々に起き上がって歌い出す  マゼンタに近い赤い髪のコショージメグミ。観たことがない人だった

「覚めていった夢の声を探すの」、強くあたる光で際立つ白い部屋 まるで白い箱の中に閉ざされているようだった

 

ドアの無い方向に歩いて 居なくなる


03. ELUDE

鳥のさえずりが聞こえる 囀れるということはまだ首があるのかもしれない

白と上に張られたがゆらゆらと揺れている バチバチと音を立てて何かを撮っているのか、実験の過程なのかわからない

シトシト降る雨 いつだってこういうときには雨が降る

透明な玉が落ちて揺れて、くっついて、浮遊する 画面をこえて視界を覆っていた

どうやって彼女達が登場したのか 憶えていない

黒い衣装を着た4人がステージにいる

飛び立つ鳥の音がする


04. レインコートと首の無い鳥

緊張感のある低音が身体を刺激する 首を狩るさまは初めてみたときよりも息が震えた 生を揺らがす者をかわして生きて動くさまも洗練されていた 白くない、黒くて、塗られていく青の前でも赤の前でも涼しく腕を伸ばして姿が美しかった 間奏部の舞が本当に痺れた

その青や水滴の傷跡は、天井から正面のスクリーンまで伝って流れていて

青と赤に黒い羽がおちていた

 

05. YUME

しゃがんみこんでいただろうか 聞こえるのは逆再生 記憶を巻き戻るような音がして

雨が降る雲の方向をみるようにして、なにかを待つようにしてみていた

 

06. おかえりさよなら

ピアノの音がして跳ねる

写される白いscreenにいつかのimage 静かに剥がれて、少しずつ浮いて、少しずつ粉々になって、浮遊した

「遠い昔のバスの音のよう」でやってきたbathroomはimageとは違ってすぐに砂になって溶けていった

 

「色も景色も写真もぼかして。」

「過去も言葉も全て薄れて。」

 

叶わないの?変わらないの?


07. GOOD NIGHT

オルゴールの音がして和田が何かを台車で持ってきた スクリーンに映るのは台形の光と、手の影 矢川とコショージは赤いベッドに座って静かに眺めていた

プロジェクターで映されたものは見覚えのあるソファや、見覚えのソファや、街並みどこかで見たような風景だ いつの記憶だったろう

 

台車を戻していく


08. 不思議な風船

遊園地の記憶 はじめに乗ったのは椅子型のブランコだったろうか 遊具がたくさん重なって 思い出せば思い出すほどに記憶が絡まって1つ1つの輪郭が失われていくようだった どんどん溢れでる断片的な記憶、身軽さだけが身に覚えがある


09.10. fMRI_TEST

a____

今、寝てました?ーーーはい。

a____

夢を見ていました?ーーーはい。


11. 言選り

同じように見える人がたくさんいて 昼も夜も夢でもみた光景

未来と過去に通じるように時を泳ぐように見える 誰かに別れを告げるように手を振っていた

 

鍵が落ちる

 

12. SIX

自分から開くドア ドアの向こうはジワリと赤い光で充満している

コショージ 井上 和田の3人は引き込まれるようにしてドアの向こうへ行ってしまった

矢川葵はなかに入らなかった 入れなかったのかどうかは憶えていない

 

閉まったドアは白い部屋を 血を思わせるよう赤で塗らして行く 矢川葵は逃げるように去っていた

赤に染まる


13. 狭い物語

赤に染まった世界

白が染み付いた壁はぼやけたまま

別の道を行っても赤い中で揺れる4人が不思議だった

 

「それは、夢じゃないの 今も、ここにあった部屋で抱き合ってるの。影と体を重ねている」

1人でそのフレーズを歌う彼女の声に、心動かないことがあるだろうか 救世主のようだった

跳ね除ける赤


14. MOVE

白と黒い影、記憶

老若男女だろう たくさんいて その中に探したい人はいるのだろうか

足音


15. ボーイミーツガール

その駆けるようなピアノの音を聴いた途端にむせて涙が出てきた

夜に観たものを思い出した モノクロのbitと、マゼンタが照らす光 誰かのことをやっぱり思い出しそうだけど影になって消えていく 形もよくは覚えていない

 

"ボーイ"ミーツ"ガール"

あの少女じゃなくって少年はどこにいるの?そんなの一度も居たこともないのに

すこし楽しそうな表情をしていたことが印象的だった  とおい夢の中で観ていた観客は誰もいなかった

 

16. PAST

誰かに叩かれるドアが点滅した

ベッドに腰掛ける和田と矢川が俯いてハミングする

ぼんやりとかすかにうつる過去の記憶

SolitudeHOTEL3Fのようにみえる 3F下は今、どうなっているのだろうか?あの彼女たちは今でも3F?ドアを叩いたのはあなたたち?

 

17. rooms

暗転してなにも無くなる瞬間、別の場所に飲まれていったような感覚に陥った

「安心していいよ、全部無くなるの。」

夜とは違くて、

PASTとMORE PASTに挟まれた時の狭い部屋

 

18. MORE PAST

横並びになる4人

去っていった一人の少女、偶像、思想


19. 十六歳

いつかよりも長めにはっきり聞こえる鼓動の音 何もまざることなく、振動を遮るものもなく届いた いつか観た黒い影の人たちがみえている

声をきつく張り上げずとも歌い上げてでも出口を探して走ってた


20. NIGHTMARE

電車の音

昼には走りようがない電車の音

暗くて実態がないような電車の音


21. 影の電車

弦の重なる走る音

「1年前に見失った声は "昼も夜もなくなって"、かすれた朝を見る」

昼にも夜にも聞くことのなかった極

電車ごっこのように動いていく

 

「絡まった夢のつづき、1人、知らないままで。」


22. fMRI_TEST

みたことのある映像 眠りの始まりの意識


23. 夢

「"はじめに戻って" ゆめ 見てる まだゆめの中で 開く本のページは破れて」

 

おわらない夢 続いていく そのときに歌っていた言葉を今はもう忘れてしまった

こちらの意識が徐々に遠くなるように幕がしまっていく

美しい光景

 

幕は閉じてもまだ、歌がきこえる 私たちが目を覚ましたとしても夢はどこかで続いて、その一部でも観れたことはfMRIのおかげなんじゃないかと思う 夢のあとにまた囀りをきくことになるのか、新しい朝が来ているのか、街の風景を馳せているのか、聞いたことのないような世界にいるのかな

 

 

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放り出された目覚めた世界には7Fの通知

着実に上がることが約束された

 

image以来のアルバムタイトルを表札にしたsolitudeHOTEL

3F、imageはアルバムの曲順でライブをしてそのアルバムに対する意識を深めさせられたけれど、今回のyumeはfMRI_TESTで脳を覗くような形で14曲目に収録されている夢をみてなぞっていき、そして夢で終わって幕が閉じていった  夢から始まるのではないかということはそのタイトルから予想していたことだったけれど、やっぱり想像をつかないことをしてくれるのがメゾンブックガールだった

MCも一切なく、我々の意識と交わすこともなかった

本当に素晴らしかった

わたしがずっと観たいものだった

いつもいつも、この日記に書いてきたことだけど、わたしはメゾンブックガールのその世界を自意識を介さずに溶けて観ていたくて、でもどうしても意識を通さざるを得なくて酷く葛藤することも多かった 5Fで初めて着席で見られたことは随分とその点について軽減されて感動したものだったし、6Fのhiruyoruでも着座で見れたけれど、今回のyumeは舞台上だけで完成されたもので、観客などいてもいなくても関係なくて格別だった

4Fで途中から突き放されて、同じ箱の中に閉じ込めながらもいないことにされたような感じでゾクゾクしっぱなしだった

影を意識させるこの公演で、初演になる影の電車が夢の終盤に来ること。イメージさせるVJもなくただ4人の身体で表現していたこと。

1時間半のその脳内のリズムは電車に乗っていたのかもしれないね

 

夢にいながらのメタ発言のようで本当は触れるのも嫌だけれど、でもやっぱり、歌が本当に際立っていて1年前では表現できなかったことまできこえてきた 5Fとも全然ちがうと思ったほど急速だ 高音部では全員張り上げていたけれど優しくしっとりと寄り添うようにうたう言選り、十六歳では涙と感動した 努力の賜物で、これからのことを考えても楽しみで仕方ない

 

おぼえていたかった演出が記憶から無くなってきている 夢のことはいつも忘れてしまう 夢だったんだろうね

 

 

ライブの終わりといえば口々に最高と叫び、鼻息を荒くして目はギンギンにかっぴらいているものだと思いますか 良ければ良いライブであるほど、顔は顰めて無口になり、何も喋りたくなくてただ脳内を整理したくなるのがメゾンブックガールで

こんなに期待を膨らませてどうしてしまうの?

いつまでもこうして置いてけぼりにしてください

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夢のような1日

 

愛してるよ ゆめの続きを